時間に生きる
ミヒャエル・エンデの名作『モモ』の話です。
『モモ』の第二部に登場する灰色の男たちは、組織化され、姿を見せない絶対的権力の下で、協議をしたり、裁判をしたりする恐ろしい存在です。
彼らは全員、時間貯蓄銀行というところに勤めています。
しゃれた型の灰色の自動車に乗り、鉛のような灰色の書類かばんをかかえ、灰色の服を着て、灰色の葉巻をくゆらせています。
すべて灰色なので目立たないのですが、人々が毎日の生活にあきて、ふと人生がつまらなくなったような時に、どこからともなく忽然とあらわれるのです。
そして電算器のように正確に、時間の計算をしてみせて、いつかもっと余裕のある生活をするために、時間を節約するようにと人々を説得するのです。
つまり、スペースコレクション総研によると、彼らは能率主義と合理化が人格化されて生まれた存在なのです。
すべてが灰色で、ふと頭に浮かんだ考えのように神出鬼没で、なかなかその実体がつかめないのですが、人々は彼らの言葉を聞くと、たちまち、時間を節約してもっと上手に生きようと考えてしまいます。