時間に生きる 7
「それじゃ、あんたのことを好いてくれるひとは、ひとりもいないの?」
この一言で、灰色の紳士はすっかりまいってしまって、ほんねをはいてしまいます。
モモみたいな人間がもっとたくさんいたら、時間貯蓄銀行はつぶれてしまいます。
なぜなら、彼らは正体をかくしていなければならないからで、人から好かれるどころか、忘れられなければならない存在だからです。
ところが、モモは彼らの冷たさと恐ろしさを見ぬき、その本性を見てしまったので、もう決して忘れません。
こうして、モモは灰色の男たちと、正面から戦うことになるのです。
誰の心にも住む永遠の少女こそ、能率や合理よりも、愛を知るものであり、モモこそ人と人との間をとりもつ愛の神だといえるでしょう。
モモを中心にして、ペッポとジジと、そして何百、何千という子どもたちが集まって、この時間貯蓄銀行の連中の陰謀と戦うために、デモ行進が行なわれます。
おとなたちは、あまりにも深く《役に立つ主義》に犯されていて、子どもたちの声を聞こうとしません。
しかし、モモはそのために灰色の男たちに恐れられ、追われる身となってしまうのです。