古代芸術品の表現力
巨石城壁、弩陛墓、城門の重量低減のための3角石、地下廊などはすぐれた構築性才能の記念碑です。
クレタ美術の特色であった色彩の愛好はミケネ人では弱くなります。
壁画の色彩は鈍く濁り、ニュアンスを欠き、陶器は単彩です。
このことはミケネ人は自然美の色彩への興味が薄いせいですが、まだ十分に発揮できなかったけれども、彼らは色彩よりも立体感に性向がかたむいていた一面もあります。
彫塑のほかに稀な例だが、クノッソス玉座室のグリフィンの陰影の試みがこの性向をみせています。
さて、以上のように自然をはなれ抽象化に歩む美術品には生命の訴えがあるでしょうか。
ティリンス壁画の官女やミケネの黄金マスクに迫ってくる生命力を認めて、これは人間存在の主張なのです。
またそれは抽象化や不自然さを越えた生命の存在であると。
・・・これらの作品は散発であったとしても、この主.張の基盤は十分にできていたのです。