古代芸術品の表現力 3
このような状況のもとでは半神である英雄崇拝が強く、彼らを歌う叙事詩が作られます。
それは人間の尊厳をたたえ、人間存在の観念を確立します。
もちろん英雄の背後には超人間的で不死な神々は崇められるけれども・・。
あのミケネの黄金マスクのような肖像が現われる基盤を以上のように考えるのです。
しかしまだ人間一般とか人間性とまでは昇華されないで、卓越した個人としての英雄だったのではないでしょうか。
このような英雄崇拝はミケネ時代の信仰の重要な要素であると思われます。
・・・ともあれ、このような英雄崇拝を映した人間的な生命の強烈な主張に、ミケネ美術の生命力の根底を求めたいのです。
そこにあの美術における壮大性が生まれます。
建築に彫刻にみるように・・・。
そこでミケネ時代の人間とは、クレタのように自然の一部ではなくて、自然に融合せずにそれに対抗できるものなのです。
それだから自然主義は後退しても、ここには素朴でひたむきな、またある程度は現世的な生命が表明できたのです。